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第1回:モルテン、イタリアへ行こうかな


準備編①

ある日、私の仕事の事情で海外と日本を行き来する機会が多いということもあり、気が付くと結構なマイルが溜まっていることに気が付いた。

この溜りまくったマイルをどう消費しようかと考えていると、イタリアのフィレンツェで小学生の頃から大ファンだった漫画家の荒木飛呂彦先生がイベントを行う事をニュースで知った。

フィレンツェ、花の都。しかも知人等もそのイベントを見に行くという話を聞き、夫に恐る恐る溜まったマイルをイタリア旅行に使わないかと聞いてみた。

すると、夫は「いいね、イタリア」と言い旅行の計画をあれやこれやと立てはじめた。

関西国際空港の飛行機
関西国際空港の飛行機

そんなわけで最初は数日間の旅行の予定だったが、もしかするとイタリアなんて一生に一度の旅かも知れないということであそこも行きたい、ここも見たいとなり気が付けば一か月近くの旅程になってしまった。

これでも随分と夫と相談し、行先をかなり削った結果でだ。

自営業と小説家という収入が不安定ながらも、時間が比較的自由になる職業に感謝しつつ、まだ見ぬイタリアの地を妄想することから始まった旅について、ぽつぽつと記録していこうと思う。


考えてみると、私は非英語圏には一度も足を踏み入れたことがなく、ヨーロッパも行ったことが無かった。

夫は友人がドイツ在住で、昔学会か何かでフランスやイギリス等には行ったことがあるという。

「ヨーロッパってどんな感じ? イタリアには行ったことはあるの?」

「どんな感じって言われてもなあ……イタリアには行ったことないよ。前に行ったのは数日間だったけど、それぞれ国によって印象が違って面白かった」

「どこの国に行ったことあるの?」

「イギリスとドイツとフランス。ドイツじゃ、アジア人を初めて見たって人がいるような街に行って来たよ。友人が長年ドイツに住んでてね。住むうちにドイツ人みたいな見た目に変わっていたんで驚いた。

外の店で食べるよりも家庭料理の方がドイツは美味しかったなあ。イギリスはロンドンに行ったけど、東京みたいな感じ。

フランスは、銀行に行くと外に物乞いがいてお前金下ろしただろう、それをくれ!って絡まれたり、変な人が沢山いて面白かった」

「言葉はどうだったの?」

「随分前のことだけど、まあ日常会話程度を覚えておかないと辛いかも」

「そうなの……? カタコト英語じゃ駄目?」

「全く通じない地方があるよ。数のかぞえかたと、道の聞き方と挨拶程度は覚えておかないと……それに少しでも現地語で返してあげた方が喜ばれること多いしね」

「うーん……じゃ、イタリアに行くならイタリア語を勉強しなくちゃ駄目だよね」

「そうだね。まあ、50~60単語くらい覚えておけば何とかなると思うよ」


翌日朝起きると、私と夫が共有しているGoogleのカレンダーにイタリア語の単語が書きこまれていた。

どうやら1日1単語覚えていきなさいという意味のようだった。

最初は数からはじまり、挨拶文になり、簡単な会話文と進んで行ったのだが、私は現地で何とかなるだろうという気持ちがあったせいか、あまり覚えていなかった。

夫はそれを何となく察したのか、行く前にテストを行うと言いだしたので、大層焦り、10年ぶりくらいのテスト勉強を開始し、出発前に学生時代の試験前の焦り等を夢に見てうなされたりと大変だった。

結局面倒だと思ったのか、忘れていたのかテストは行われなかった。

未だにこの時のことがトラウマになっており、夫に「イタリア語のテストをするよ」と怖い顔で言われる夢を見て飛び起きる夜がある。


イタリア旅行前に、私はどっさりガイドブックを買い込みまだ見ぬフィレンツェやローマに思いを巡らせ、どこで何を見ようとか、何を食べようかと想像していた。


夫はイタリアは大層治安が悪い地域だとか、飛行機の乗り継ぎで荷物を無くした体験談の記事等を読み、その対策にあれやこれやと思いを巡らしているようだった。

夫の立てた対策は荷物を出来るだけ減らして、手荷物だけにしてパスポートと財布は小さな密着型のリュックで常に持ち歩くというものだった。

スリが多く、鞄からちょっと目を離すと危ないという知らせは私も聞いていたので、出発前にハンズで首から下げる貴重品入れを私も購入することになった。

今回旅の間の写真で、ずっと私の首回りに写っている灰色の紐はパスポートと紙幣入れだ。

イタリアに行く前に、私と夫はイタリア料理断ちを行いパスタやピザ、トマトソース味のものを一切食べない事に決めた。

旅立つ日まではまだ数週間あったが、物凄く待ち遠しかった。

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