ホーム 『モルテンおいしいです^q^』田辺青蛙 第1回 まずはタイトルを決めなくちゃ Page 2

翌朝、メールをチェックしてみると、夫の出したタイトルが編集者に受けて、採用されたという内容の返事が来ていた。

ここまでが連載のタイトルが決まった流れである。


余談だが、夫は私とはジャンル違いではあるけれど、同じ小説家で、デビューもほぼ同時期だった。

確か最初に出会ったのは、デビューしてから約1月後の、書店イベントだったように思う。

夫はその時の出会いを全く覚えていないようだが、私はよく覚えている。

編集者の人に、よくわからない変な小説を書く人と紹介されて、出て来たのがへべれけに酔っぱらった、夫だったからだ。

その後の途中経過はよく覚えていないのだが、意味の分からない小説になんの意味があるのと聞いたら、見知らぬ文芸評論家や書評家が出てきていろいろと説明してくれた。

私はそのことについてサッパリ理解できず、ふーん、へーと聞き流していた。

とうの本人は更に酷く酔っぱらっており、私に無理に理解しない方がいいと告げた。

何故かその時私は、軽くバカにされたと思い、相手に意味の分からぬ小説など読み手も限られるだろうし、売れもしないだろう。

それに比べて自分は分かりやすいエンタメ小説を書いているので、この先君よりは売れると思うよ、うひゃひゃひゃはっというように返した。


現在、夫の仕事量は私の軽く見積もっても10倍くらいあり、依頼は更にその倍くらいなので不思議でしょうがない。

そもそも結婚の経緯も気が付けば一緒になっていたので、よく分からない。

今回の旅の予定も夫が立てたのか、私が立てたのかはっきりしない部分がある。

流されるように、この先も続いていくのだろう。

どうなるかは、分からない。旅の手段であるモルテンを食べてしまった、ニルスのように。

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