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その後ガイドはわれわれをもう1ヶ所面白い場所に連れて行ってくれた。

滝の下流にダムがあるのだが、夏は洪水対策として水をあえて貯めないでおく措置がとられる。そのとき冬の時期は水中に沈んでいる発電所の廃墟が水上に姿を現すのである。これだ。

おおお、かっこいい!

なんだかヨーロッパみたいではないか。冬になるとこれがダム湖に沈み、ファサードの一番高い三角になった部分だけが水面に露出するという。

思えば、こないだ四国に行ったときは、早明浦(さめうら)ダムに沈む旧役場の建物が見られなかった。あれは相当な渇水にならないと見られないらしい。一方、この発電所遺構は丸見えである。まるで水に沈むことなどないかのように、ふつうに見えている。それが夏が終われば、だんだん水が貯まってダムに沈んでいくというのだから、そそられる。ぜひその様子を、そばに張りついて見ていたいものだ。

「放水路を渡って、あの遺構のところまで歩いていくツアーをやることもあります」

いいなあ、そのツアー。途中敵に待ち伏せされたりして。その非日常感を私も味わってみたいと思ったのである。

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第20回 鹿児島2

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