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第20回「鹿児島2」


2.ナイス放水路と、不気味で素敵な像たち


さて、そうやって寄り道しながら、われわれは曽木の滝にたどりついた。

「曽木の滝といえば、鹿児島では市内から泊りがけで校外学習に来たりするところで、かなり遠いです」

とテレメンテイコ女史は言っていたが、案外早く到着し、昔はもっと遠かったのに道がよくなっていると驚いていた。

曽木の滝は駐車場も広く、このあたりの主要観光地らしい賑わいが感じられた。ここではボランティアの観光ガイドをお願いしてある。

というのも、今回は曽木の滝本体ではなく、分水路が見たかったからだ。分水路は増水時に水を逃がすために造られた人工の川で、一般には見物できないため、ガイドを通す必要があったのである。

少し早く着いてしまったが、ガイドの方はもう待ってくれていた、ピンク色のスタッフ用ビブスを着た、おそらくリタイア後にガイドを始めたのであろう初老の男性であった。

「よろしくお願いします」

と挨拶すると、さっそく「分水路を案内してほしいという人は珍しいです」と言われる。

「国土交通省も喜ぶと思います」

で、まずは滝を見にいった。滝のほうはどうでもいいと思っていたら、ちょうど大雨の後で増水しており、これが結構な迫力だった。

「東洋のナイアガラと呼ばれています」

まさしくそんな感じだ。いや、ナイアガラというより、ジャングルの中にあるイグアスの滝か。

これまでいろんな滝を見てきて、滝というものにすっかり飽きていたが、ここは見慣れない感じでよかった。日本の滝は峡谷のなかにあって陰気なものが多いなか、ここは広々と幅があって明るい。 

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