ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈休暇強奪編〉』宮田珠己 第19回 鹿児島1 Page 3

さて鹿児島市中心部を出て、これから鹿児島を一周しようと思う。どうせなら桜島と錦江湾の周りをぐるっとまわりたい。最初に目指すのは、伊佐市にある曽木(そぎ)の滝である。

運転手は例によって私。

滝に行くまでに、いい感じの仁王像にも寄っていくつもりだが、テレメンテイコ女史がそのへんはぬかりなく調べておいてくれた。

「それにしても」

走り出して私は言った。

「鹿児島は緑が濃いですね」

街路樹もただ木が1本生えているというだけでなく、その幹にまた草が生えたりして毛深くなっている。まさに「けけけけ」というか、そこらじゅう緑だらけで目にまぶしいほどだ。

「雨の後だからそう見えますが、普段の鹿児島はもっと灰色です」

女史は言った。

なるほど。そういえば現時点では桜島は噴火しておらず、灰も降ってなかった。

「灰が降ったら、こんなもんじゃないですから」

「積もった灰ってどうするんですか」

「自宅の灰は集めてゴミの日に出します。道路上の灰は、専用の車が処理します。せっかく鹿児島にお越しいただいたのだから、集塵車を見てもらいたいです」

「雪とちがって吹き飛ばせばいいわけじゃないですよね。その車は灰をどうするんですか」

「吸い込むんです。で、もう1台散水車がいて、灰が飛び散らないよう後から水を撒いていくんです」

「その集めた灰はどこにいくんです? ものすごい量だと思うんですけど」

「専用の処分場があります」

「そんなのすぐいっぱいになるでしょ。また桜島の火口に放り込んだらいいじゃないですか」

「誰が火口まで運ぶんですか」

「ん?」

「宮田さん、運んでくれますか」

「……フロドに頼んだらどうかな。ホビット族の」

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第19回 鹿児島1

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