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われわれはこの後、安居渓谷にも行き、さらにもう1か所天空の村と称される桜集落も訪れ、どんどん西へ向かっていった。

やがて高知県を抜け愛媛県に入って、この頃になると、観光というよりどこまで西に行けるかが旅の焦点となってきた。

地図で見ると、愛媛県から大分方面へ突き出す佐田岬(さだみさき)半島というのがある。この半島は、長さは40キロ近くあるが、幅は狭いところで1キロないような場所もあって、これほど細長い土地は日本に例がない。できればその先っぽまで行ってみたいものだった。

実はずっと前から、地図を見ながらあの岬の先っぽはどうなっているのだろうと空想して、死ぬまでに一度は行きたいと思っていたのである。

同じ、あの“先っぽはどうなっているのか岬”としては室戸岬があって、地図で見るとキンキンに尖っているあの先っぽがどうなっているか、この目で確かめるまでは死んでも死にきれないぐらいに思っていたが、行ってみるとそんなに尖っておらず、むしろ丸っこいおまんじゅうみたいな山になっていたから驚いた。やはり地図で見ているだけでは真実はわからない。この目で見ることが肝要、とそのとき心に刻んだのである。

だとするなら、大分に向かって槍のように突き出す佐田岬も、その実態はどんなことになっているかわかったものではない。槍のようだと思わせてヘルメットみたいだったりするかもしれないし、豆腐みたいに柔らかい岬だったりするかもしれない。

われわれは半島を貫く一本道をひたすらレンタカーで西へ向かった。

地図で見ていたときは気付かなかったが、この道は結構高いところにあり、それはつまり尾根を走っているらしく、このことは半島が山がちということを示していた。

たかだか幅1~3キロ程度の半島なのに、標高400メートル近い山があったりする。結局半島の先端にある駐車場に着くまで、ほぼずっと尾根道だった。このことから、佐田岬半島はただ細いというだけでなく、屏風のように海からそそり立っていることが判明した。

こんな感じだ。

佐田岬半島イメージ図
佐田岬半島イメージ図

やはり、地図でぼーっと眺めているだけではわからないものである。

どこであれ実際に行って確かめることが大切なのだった。

こうしてわれわれは四国横断を達成したが、達成したからといって、とくに何があるわけでもなく、そんなことよりぎっくり腰がそろそろ治ってきたようだ。治ってきたのに、これから帰って机の前で原稿仕事とは、なんだか自然の摂理に反するような気がする。

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「日本全国津々うりゃうりゃ〈休暇強奪編〉」宮田珠己
第18回 四国横断2

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