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奥祖谷で目指していたのは、モノレールである。

正式には奥祖谷観光周遊モノレール。

モノレールと聞くと、東京モノレールとか大阪モノレールとか多摩モノレールとか千葉モノレールとか、とにかく交通手段としての電車的なあれを想像するが、奥祖谷観光周遊モノレールはそういうのとは違って、遊園地のアトラクションのような乗り物だ。ふたり乗りで森の中をぐるっと一周してくる。

といっても、べつにジェットコースターのようにスリルがあるわけでもない、

そんな乗り物になんでわざわざ乗りに来たのかというと、実はこのモノレール、乗車時間がなんと65分もあるのである。

65分!

遊園地にそんなに長時間乗りっぱなしのアトラクションはないぞ。しかも、聞くところによるとコースはほとんど森の中。途中1か所だけ展望がきくポイントがあるそうだが、それ以外はずっと森というではないか。途中下車もできないらしい。

なんだろうな、その心は。

ホームページを見ても、森林浴を楽しみながら登山気分を味わうというようなことしか書いていない。ほんとにそれだけ? そんなもんに65分?

これに乗ろうという乗客のモチベーションは何なのか。いわゆる誰とく物件ではないのだろうか。このモノレールの存在する意味は何?

今回はそれを知るためにやってきた。

現地に到着してみると、乗り場は小ぎれいな温泉宿泊施設の敷地の一画にあった。周囲は森に囲まれ、近づいてみると、たしかに銀色のレールが駅舎を出て森の中へ消えていた。

オンシーズンはTDL並みの1~2時間待ちもあるということだったが、それは大人気だからというより、一度にふたりしか乗れないうえに、間隔を十分にあけてスタートさせるからである。

この日は運よくガラガラで、われわれはその日の2組目だった。1組目は香港人のカップルである。

え、香港からわざわざこれに?

ますます謎だ。世界を魅了するモノレール。いったい何があるというのか。

乗車前に注意事項を説明される。

まず第一に、あらかじめトイレに行っておくこと。

まあ、当然だろう。65分は長い。

次は防寒。上まで行くとここと6度違うと言われ、私はヤッケを準備した。

さらに途中で停止したときの対処法などを教わる。

これが案外よく停まるのらしい。木の葉などがケーブル上に落ちたとか理由はその程度のことのようだが、問題はいったん停まって5分以内に自動復旧しない場合、係員が来て操作しないと動かないことだ。なにしろ1周65分もある長いコースである。係員が来るまで結構待つことになる。できれば停まってほしくないものであった。

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第17回 四国横断3

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