ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈休暇強奪編〉』宮田珠己 第16回 四国横断2 Page 2

おばさんは、内部での注意として、「ろうそくを縦に持つように」と言った。横にすると早く溶けてしまい、往復分に足りなくなる可能性があるそうだ。そしてろうそくは常に前側の手で持つ。前側の手? つまりそれは体を横向きにして進む=そのぐらい狭い洞窟であることを意味している。

「背の高い人が先」とおばさんは言い、まず私からついてくるように指示した。体が大きいほうが通り抜けにくいから、自分の指示が届きやすいようにという配慮だろう。洞窟内はすれ違えないため、おばさんの指示は順次後ろに伝えていく方法がとられる。

洞窟の入口は、ちょうど人ひとりが入れる程度で、やや下りになっていた。

だんだん狭くなっていくのかと思ったら、のっけから狭い。カニのように横向きに進んでいくのだが、その細い洞窟がいきなりヘアピン状にカーブしている。しかも立ったままでは回り込めず、そこでしゃがんで肩を斜め上向きに突っ込みつつ腰をひねって後ろ向きになってお尻を抜いて……。

「痛てててて……」

あ、今、ちょっとハードボイルドの予感が…。

しかしギリギリ大丈夫であった。大丈夫であったけれども、どんだけ狭いんだ。この先こんなのがずっと続くのだろうか。

そこから先はどう体を使ったのか細かくは覚えていない。とにかくしゃがんだり、尻をついたり、斜めになったりしながら進んだ。ろうそくも右に左にと持ち替え、つまり場所ごとに右半身から入るか左から入るかが厳密に決められている。そうしないと通り抜けられないのだった。

こんな狭い洞窟は生まれて初めてだ。

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第16回 四国横断2

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