ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉』宮田珠己 第18回 宮崎2・3 Page 6

不意にテレメンテイコ女史の携帯が鳴った。

女史がしばらく誰かと話して、小さくうれしそうな叫び声をあげた。何かと思えば、旅の出発前に電車ですられたと思っていた財布が、会社で見つかったのだそうだ。

思わぬニュースに、女史は満面の笑みとなって、

「高千穂でお清めしたのがよかった」

と言い、何かしましたっけ? と訊くと、私がバスでやってくるのを待つ間日本酒を飲んでいたと白状したのだった。

「清酒でお清めしたんです」って、ただ酒飲んでただけじゃないか。

ともあれ、財布が見つかったのはよかった。私には、ここ高鍋大師のご利益のような気がする。というか、もとをただせばそんな縁起のいい話ではなく、テレメンテイコ女史の単なる不注意なのであった。

このあとわれわれはさらに南下し、有名な鵜戸神宮(うどじんぐう)なども訪れたが、宮崎の観光地は、どこも陽気に感じられて、さすが南国と感じ入った。30年ぶりだと思っていたけど、そういえば、ほんの3~4年前にえびの高原に行ったのを不意に思い出し、そのえびの高原もいいところだったとあらためて宮崎の良さを噛みしめたのだった。

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「日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉」宮田珠己
第18回 宮崎2・3

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