ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉』宮田珠己 第18回 宮崎2・3 Page 4

翌日はタクシーに乗って、高鍋大師に向かった。

高鍋大師とは、昭和の中頃に、岩岡保吉(いわおかやすきち)という人物が自らの力で半生をかけて作り上げた巨大石像群で、田畑の中にもっこりとそびえる小山の上にある。あたりには視界を遮るものがないため道中ずっと見えており、遠望しただけでヘンテコで巨大な像がいくつも立っているのがわかった。もうその光景だけで異様なオーラを放っている。素人が作ったものだから、いわゆるB級スポットの類と言えるが、今では高鍋の正当な観光地として認められているようだ。

最近はテレビでも全国各地のB級スポットが紹介されるようになって、当初そういう場所が大好きだった私も、だんだん飽きてきた。というか、正確にいうと、変であれば何でも面白がることができた時代は終わり、がっつりと手ごたえの感じられるB級スポットだけ見たい。B級スポットにもB級スポットなりの完成度、質の高さを求めるようになったというか、つまりは目が肥えたのである。

その意味で高鍋大師は、事前に調べた限りでは、並みいるB級スポットのなかでも、その大きさや完成度、ひとりの人物が半生をかけて作り上げたという物語性、そして何より石像群自体の魅力が抜きんでていて、好感が持てそうだと感じていた。

タクシーで坂を上ってたどり着いてみると、好天だったこともあり、いきなりいい感じであった。

期待にたがわぬ完成度だ。

いや、完成度は低い。石像の完成度は低いけど、B級スポットとしての完成度が高い。造形のユニークさもあるけれど、たぶん明るさがポイントである。私が思うに、B級スポットは陽気でなければならない。陽気は絶対条件であり、高鍋大師は、相当陽気であった。

陽気すぎるぐらいであった。

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第18回 宮崎2・3

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