ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉』宮田珠己 第17回 宮崎1・2 Page 3

それはある意味ベタな見世物ではあるのだが、こうして民家の広間で見ると許せてしまう。男神は客席に入り込み若い女性に抱きついて浮気したりするが、それを女神が連れ戻し、また浮気し、連れ戻し、とやって、そんなコント風の笑いも心地いい。神楽定番ギャグ。毎年同じギャグでもいい。先鋭化を目指さなくていい。いつから笑いは常に新しくなきゃいけなくなったのだ、と「御神体」が諭してくれているような気がした。

「おもて様」の活躍はその後も続き、さらにアクロバティックな「八鉢(やつばち)」、大蛇と闘う「蛇切(じゃぎり)」を見る頃には、もう明け方の5時になっていた。

さすがに一睡もしないでは今日の行程は乗り切れない。テレメンテイコ女史と私はここで神楽宿を後にして、ホテルに戻った。神楽自体は夜が明けても続くというから、大変な重労働で、最後まで付き合いたい気持ちもあったけれど、さすがに体が持たない。

話のついでに寄った形の夜神楽、若い頃なら、きっと面白く見なかったと思うが、私もすっかりおっさんになって、代々続いてきた伝統芸能の味わい方がわかった気がしたのだった。

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「日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉」宮田珠己
第17回 宮崎1・2

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