ホーム 『日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉』宮田珠己 第17回 宮崎1・2 Page 2

そして、いくつかの舞いを経て、ついにそのときはやってきた。

「おもて様」が、いよいよ姿を現したのだ。

それは「七貴人(しちきじん)」という舞いで、次々と「おもて様」が出てきては、キメのポーズをとってみせた。同じ男たちが舞っているのであっても、仮面をつけるとそこに何か力強いものが宿ったように感じられる。怒ったような笑ったような、あるいは何か言いかけたまま固着したような仮面の表情が素晴らしい。

表情が未完成なゆえに、見ている側が勝手にそこに何かを投影してしまうのだろうか。むしろ「おもて様」の言いたいことは直接胸に伝わってくるようだった。やっぱり仮面だよ、仮面。期待通りだ。私は急速にのめりこんでいった。

神楽のクライマックスのひとつ、「御神体(ごしんたい)」もしくは「酒こし」と呼ばれる舞い。イザナギとイザナミの国産み、子授けの舞い。ユーモラスな表情の男神と女神が登場し、卑猥な動きで笑いを誘う。

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「日本全国津々うりゃうりゃ〈仕事逃亡編〉」宮田珠己
第17回 宮崎1・2

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