ホーム 『ラヴァーズ・ハイ』カニリカ 第2話『美しすぎる横顔』 Page 1

第2話『美しすぎる横顔』

「はじめまして、ジュンです」

週刊誌「女性生活」の編集長である映子に連れられてやってきた、新宿二丁目のボーイズバー「バタフライ」で陶子が選んだのは、端整な顔立ちの男の子だった。身長は軽く一八〇センチはあるだろうか。

彼がその長い脚を折り曲げてスッと陶子と映子のあいだに座ると、映子がすかさず尋ねた。

「ジュンって、どういう字を書くの?」

「批准の准です」

「あー、岡田准一の准ね。批准なんて難しい言葉、よく知ってるわね」

「いや、たまたまです」

映子に誉められて照れている横顔を見て、陶子は何となくこの男の子に好感が持てた。

「陶子、あなたが呼んだんだから、あなたが話さないと」

「……うん」

ノリが第一の営業であるママのミミにとっては、ちょっとした沈黙も耐えられないのか、陶子のためらいをかき消すように割って入ってきた。

「ねえねえ。映子ちゃんは、今夜は誰をご指名? 誰にするぅ?」

「うーん、そうだなあ……」

映子がミミと指名するコを選んでいる間、陶子はずっと准の横顔を見つめていた。

見事なアーチを描いて整えられた眉。その下には女性でもうらやむような長いまつげがあり、彼の瞳をさらに印象的に見せていた。通った鼻筋の横には、にきびやシミがひとつもないきれいな頬が広がっている。

今の男の子はこんなにも美しいのか。陶子はため息が出そうだった。

前のページ

次のページ

「ラヴァーズ・ハイ」カニリカ
第2話『美しすぎる横顔』

目次  1  2   3   4   5