ホーム 『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』宮田珠己 第3回 長崎──3. 軍艦島で滅亡気分 Page 5

長崎の旅の最後に、卓袱料理を食べに行った。

長崎に来たら卓袱、とテレメンテイコ女史に無理やり連れて行かれたのである。

「観光旅行なんですから、ご当地料理を食べないと」

それはいいけど、なんて読むんだ卓袱。まったく読めないぞ。ちゃぶ台のちゃぶ?

正解は、しっぽく、だそうだ。

しっぽり、とか、脱北、だったら知ってるが、しっぽくは知らなかった。かっぽれ、も聞いたことがあるが、関係ないだろう。

結局、卓袱料理とは何かというと、和洋中入り混じった異文化交流型料理だそうである。テーブル上にいろんな小皿料理が並び、和洋中全席とか、世界懐石とでも言えばいいのであろうか。とにかくいろんな味がちょっとずつ味わえる豪華料理とのこと。

楽しそうではあるが、残念なことに、私は舌がまったく肥えていないのだった。何を食っても、極端にうまいか極端にまずい場合を除き、いつも、だいたいまあこんなもんだろとしか思わないセンスのなさである。

今回も、雑煮やら、鯛の刺身やら、スープやら、角煮やら食べたものの、ここでそれを詳細にレポートすることができない。

「どうですか、卓袱料理?」

「え?」

「おいしかったですか?」

「あ、……うまい……んじゃないでしょうか」

「それだけ?」

「そ……な……すみません」

何の参考にもならなくて申し訳ない。

こうして長崎の観光はつつがなく終了ということになったのだが、そんなことより、テレメンテイコ女史のキーホルダーに七味が入っていたので驚いた。

「これがあればいざというときも大丈夫」

と本人は言うが、いざというときがどんなときなのか、全然想像できなかった。

崇福寺山門のコウモリの彫刻
崇福寺山門のコウモリの彫刻

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