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第3回「長崎」

3. 軍艦島で滅亡気分

軍艦島行きのツアーボートは揺れに揺れた。

あらかじめ、ジェットコースターのような感じです、とは聞かされていたが、さすがのジェットコースター好きの私も、この船には酔いそうだった。島に着くまで40分以上も揺られなければならないのである。いくら好きでもジェットコースターに40分乗り続けたらきついだろう。

軍艦島へ
軍艦島へ

軍艦島は、端島はしまというのが本来の名前だそうだ。炭鉱があり、一時は何千という人が住んでいたが、昭和49年に閉鎖されてからは、廃墟となっている。

ひとつの街がまるごと朽ちていく姿──しかも高層の建物が今では考えられない密度で建てられているために、島全体が迷宮のようになっているその姿──は、今では廃墟マニア垂涎の聖地となり、圧倒的な存在感で海上にそそりたっている。

おそらく廃墟マニアでなくたって、軍艦島を目にすれば、その異様な光景に目を見張るだろう。

鉄筋コンクリートの高層住宅の廃墟が観光できるスポットは全国でも珍しい。というか、おそらく日本初だ。なので、せっかく長崎に来たなら軍艦島も見ておこうと、ふたりしてやってきたのだった。

しかし、この激しい揺れ。

うす曇りで時々は小雪もちらつく冬の東シナ海を、船はぐらんぐらんしながら南へ向かって進んでいった。

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