ホーム 『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』宮田珠己 第2回 長崎──2. ランタンフェスティバルは、はりぼてが重要 Page 2

歴代博物館を鑑賞している間に、いよいよランタンフェスティバル開始の時が近づいてきていた。

夕方6時。スタッフによる秒読みが始まり、カウントゼロと同時にいっせいにランタンに灯がともった。

おおお──、

周囲がいっせいに赤く染まる。

いいではないか、いいではないか。

このときを待っていた。電飾好きの血がうずく。

「きれいですね!」

テレメンテイコ女史も興奮している。

赤いランタン(つまり提灯)と、大きなぼんぼり、歴史上の人物を模した人形などが光っていた。孔子廟がそれ自体赤いことも手伝って、空間全体が真っ赤に浮かび上がる。ただの電飾ではなく、張りぼてを光らせて、ぼったりしているところがいい。

ランタンのぼんぼり
ランタンのぼんぼり

ランタンは、たとえば都会のショッピングモールやクリスマスツリーみたいな、小さな電球をむき出しにして編み目のように光らせるのと違い、光がまろくなるので、風景に温かみが感じられる。思えば、私が見てみたい日本の3大祭りは、ねぶたも金魚ちょうちんも、電球そのものでなく、張りぼて全体で光る。張りぼてが重要なのだ。

電球むき出しでは、いくら数を増やしたところで冷たい印象が拭えないからだろう。電球と電球の間に闇があるから、明るさも、レースのような薄くはかないものに感じてしまう。

一方ランタンは、全体が光って、ひとつひとつが窓越しに明るい室内を見るようである。その先に暖かい部屋があって、そこから光が漏れてくるような、そんな印象なのだ。

実際はそんなことはないのだが、ランタンのそばに寄るとぬくもるような気さえした。

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