ホーム 『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』宮田珠己 第2回 長崎──2. ランタンフェスティバルは、はりぼてが重要 Page 1

第2回「長崎」

2. ランタンフェスティバルは、はりぼてが重要

出島のあと、まだ時間があったので、今度は孔子廟へ行き、併設する中国歴代博物館でたまたまやっていた「中国の歴代印鑑展」を見る。中国の歴代印鑑についてとくに問題意識はなかったが、こういう文化系の博物館があると、何かヘンなものが展示されてそうで、つい入ってしまうのだ。

孔子廟
孔子廟

実際、多くの装飾過多ないかにも王家や貴族が好んで使いそうな巨大印鑑──だいたいこんなカタチ

こんな感じの印鑑が多い
こんな感じの印鑑が多い

──に混じってヘンなのがひとつ紛れ込んでいたので、紹介したい。「慈禧皇太后御筆之寶」って名前はどうでもいいんだが、こんなカタチだった。

皇太后御筆之寶
皇太后御筆之寶

四本足である。印鑑が。しかも足しかない。いや、足がある以上、上の部分が胴体かと思うが、のっぺらぼうである。これは胴体というよりどう見てもレバーだろう。レバーならレバーでいいが、なぜ足をとってつけたか。

一瞬、中国の歴代印鑑に興味が湧いた。印鑑をコレクションしている自分が浮かび、それはそれで悪くない気がした。

博物館を出てしまえばどうでもよくなったが、こういうものにさりげなく出会えるところが、ふらっと入った博物館の醍醐味である。この印鑑を、出島のスゴロク、ケンペルの七福神と並び、今日の3大発見のひとつに認定したい。

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